第4章

 午前二時十四分。

 隣室から響く鈍い衝撃音と、女の抑えきれない嬌声に、意識が一瞬で覚醒した。

 このタワーマンションの遮音性が想像より低いのか、あるいは隣の行為が激しすぎるのか。

 数分後、玄関から鍵が開く音が聞こえた。

 篠原剛が帰宅したのだ。

 彼は寝室の入り口に佇み、深夜特有の冷たい夜気を纏っていた。私の口が開くのを待たず、用意していた台詞を先んじて放つ。

「起こしたか? 健治のやつ、泥酔してそこら中にぶち撒けやがってさ。介抱してたらこんな時間になっちまった」

 言い訳を口にしながら手慣れた様子でスーツを脱ぎ捨て、引き締まった上半身を晒す。

 以前なら、労りの言葉と共...

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