第5章 シェルドの正体

翌日の黄昏時、私がギルドの裏庭で小百合の剣技の稽古をつけていると、銀色の鎧をまとった人影が庭の入り口に現れた。

「赤石かおりさん、お邪魔します」

シェルドのその端正な顔立ちは、まるで吟遊詩人が謳う伝説の王子様そのものだった。

彼を一目見た瞬間、小百合は頬を微かに赤らめ、無意識のうちに少し乱れた稽古着の襟元を直した。

私はその一部始終を冷え切った目で見つめ、心の中で嘲笑していた。

前世の私も、この見目麗しいだけの男に惑わされ、彼こそが正義の化身だと信じ込んでいたのだ。

「シェルド様、何か御用でしょうか」

私は手にしていた木剣を下ろし、平静を装って尋ねた。

「ええ、実...

ログインして続きを読む