第5章

 団地の街灯が弱々しく点滅し、水たまりの地面に砕けた光と影を落としていた。

 蓮が自ら傘を差してくれ、二人は狭い小道を並んで歩く。

 ふと、彼の手につけられた精巧なプラチナの指輪が目に入った。街灯の下でキラリと光る。

 それは明らかにペアリングの男性用だった。

 その指輪を見た瞬間、私の胸に残っていた最後の非現実的な幻想は完全に砕け散り、すべてが塵に帰した。

 上流階級の人間は、ついに上流階級の相手と結ばれるのだ。

 こんな古びた路地裏に、誰が進んで長居したいと思うだろう。

「何をしについてきたのですか?」

 私は天気を尋ねるような、平坦な声で訊ねた。

「別れ話をはっきりさ...

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