第4章

山崎達也が特別席に一人で座っていると、グラスの中の琥珀色のウイスキーが、燃えるような輝きを放っていた。

薄暗い照明が包帯の巻かれた彼の頭に影を落としていたが、その心を占めていたのは、それよりも遥かに鮮やかなもの――ある女性の顔の記憶だった。

竹内友奈の顔だ。

クリニックの庭で、陽光が彼女の黒髪にきらめいていた様子。自分のお腹を優しく撫でていた、その穏やかな表情。山崎達也は、その面影を脳裏から振り払うことができなかった。

目を閉じるたびに、知的な輝きを宿した茶色い瞳が、警戒心と……そして何か別の、胸を締め付けるような感情の入り混じった眼差しで自分を見つめているのが浮かんでくる...

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